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コラム

今年のオクトーバーフェスト、NAビールが地味に本気出してる

NAB Lover ・ 2026.10.12

10月になると毎年恒例のオクトーバーフェスト。この時期のビールって、マルツェン(Märzen)とかフェストビア(Festbier)っていう、モルトの甘みとコクがしっかりした”お祭りビール”が主役になる。実はこのジャンル、ノンアルコール(NA)版が今年けっこう充実してきている。今回はレビューじゃなくて、今シーズンのNAオクトーバーフェストビール事情をざっくり整理してみたい。

老舗クラフトが本気でフェストビアに挑んでる

わかりやすい例が、Founders Brewingの「Nonetheless Oktoberfest」。これ、通常版のOktoberfestをそのままNA化した”アルコールなしの相棒”という位置づけで、使ってる原料も本気だ。ドイツから輸入したピルスナー麦芽・ミュンヘン麦芽・アロマ麦芽、ホップもマグナムとペルレをドイツから。仕上げにラガー酵母を使うところまで、通常のビール造りと同じ工程を踏んでいる。アルコール度数は0.5%、色は銅色、カラメルや穀物の香り、ほのかなフルーティさとモルトの甘みが特徴とされている。苦味は軽め(IBU15)で、まさに「伝統的なフェストビアそのまま、アルコールだけ抜いた」という狙いがはっきり伝わってくる商品だ。

もう一つ、Athletic Brewingの季節限定「Fest Brew」も同じ路線。ビエナ麦芽とミュンヘン麦芽でクリーンなモルトの土台を作り、ハラタウ・ミッテルフリューホップで穏やかな苦味を加えている。度数は0.5%未満、70kcal、IBU20。バイエルンの伝統的なフェストビアにヒントを得た一本で、Athletic Brewingはノンアルコールビール専門ブルワリーとしては世界でも数少ない規模を持つブランドだけに、季節限定という扱いながらもかなり本格的な作り込みになっている。

ドイツ輸入勢とアメリカクラフト勢、戦い方が違う

面白いのは、このジャンルでのドイツ系ブランドとアメリカのクラフトブランドの”得意分野”がちょっと違うという点。

Beck’sのアルコールフリーやPeroniのノンアルコールのような、もともとヨーロッパの大手が造っているNAラガーは、脱アルコール工程自体が伝統的な醸造基準に沿って確立されているぶん、キレのいいクリーンな後味を出すのが得意だという評価が多い。実際、ミュンヘンのビアテントでも、重たいマルツェンよりヘレスやピルスナー、ケルシュのような軽めのスタイルが好まれる傾向があるそうで、NAでもその”軽やかさ”の再現力でドイツ勢が強いというのは納得感がある。

一方、Best Day BrewingのKolschやSafety Glasses Pilsnerのようなアメリカのクラフト勢は、梨やハチミツを思わせる香りづけなど、スタイルの幅や個性で勝負してくる印象だ。Founders Nonetheless OktoberfestやAthletic Fest Brewのように、伝統的なマルツェン/フェストビアにしっかり挑戦してくるブランドが出てきているのも、この1〜2年の変化として大きい。

ちなみに、NAでもマルツェンは「甘くて香ばしい」という本来の個性がそのまま出やすいらしく、ブラインドテストではダークエール系よりもクリーンなラガーやピルスナーのほうが”本物のビールらしさ”を再現しやすいという指摘もある。これはNA全体の技術トレンドとも重なる話で、設計次第でここまで差が出るのは地味に興味深い。

この流れ、どう見る?

数年前までNAビールのオクトーバーフェスト版って、選択肢がほぼなかった。それが今シーズンは、老舗クラフトの本気の再現から、伝統的なドイツ輸入ラガーのキレ、アメリカクラフトの個性派まで、スタイルも作り手もバラバラに揃ってきている。これはNA市場全体が「お試し」のフェーズを超えて、季節イベントという”本来はアルコールがメインの場”にまでちゃんと入り込んできた証拠だと思う。来年のオクトーバーフェストシーズンには、もっと選択肢が増えていそうだ。


出典・参考リンク

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